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私事で恐縮であるが、四人の子どものうち、二人がフリーター状態(一人はボランティア)の時があり、心配したことがあった。私自身も同じような時期が長くあったが、当時は、何をしても食っていける、という楽天的な時代で、何の心配もなかった。しかし、一九九〇年代後半は、若者リストラの時代であった。
各地の市町村の調査・計画の仕事でアンケート調査を行うと、自分自身に満足している中高生は1~2割であり、アメリカの89%、フランス71%、韓国37%と大きな差を見せている。自分に自信を持っていない中高生は4割強、勉強する意欲がわかない5割弱、である。将来したい仕事で「会社員(事務・営業・経営)」は3%で、家族と仕事の話をしている中高生は5~12%と少ない。
家庭や学校、地域社会で褒められ、評価される機会が少なく、15~24歳の男42%、女50%が非正規雇用であり、おとな達はリストラにおびえているという現実は、子どもたちに大きな影響を与えていることを伺わせる。家庭では生活や仕事、社会活動の知識や経験を伝えていない。
子どもたちには、今、支援が必要である。それは、家庭、学校、地域社会全体が、子どもや若者が自尊・他尊意識を持ち、将来、自立・共立できる力を付けることを手助けすることである。また、膨大な利益をあげている企業が若者の正規雇用を増やし、消費を刺激・拡大し、景気を回復することが必要である。その責任は大きい。
30歳代前半で47%、後半で30%の未婚率にのぼる男性の生活が安定し、結婚・子育てできれば、それだけで消費は大きく拡大するに違いない。
このような時代に、被差別部落の子どもや若者たちは今、何を求めているのであろうか? そして、東日本部落解放研究所は何ができるのであろうか? 二年前に半リタイア生活に入り、会員に加えていただいて一番気にかかることは、子どもや若者の現状をとらえ、手助けできることが何か、知りたいということである。
子どもや若者が引いてしまいそうな年代の年寄りができることは限られていると思うが、狭山事件への取組とともに、それとなく、子どもや若者たちの応援ができれば、と考えている。
(『明日を拓く』87号、「会員・読者のページ」から転載)