カテゴリ:報告情報
2月26日、第2回東日本同和教育実践交流会がさいたま市で開催されました。あいさつ、経過報告のあと、研究所教育部会世話人の平井明さんが「差別する人は気の毒な人」と題して、ご自身が経験された連続大量差別はがき事件をもとに、同和教育のありようについて問題提起をされました。つかまって見れば事件を起こした青年は平井さんの自宅近くに住み、町で何度も出会っていた人物で、定職にもつかず図書館通いを生き甲斐とするようなさびしい青年でした。このような青年を生み出してしまった教師としての責任を感じつつ、彼が本当に事件を反省し、部落のことをわかるためにはどうすればいいか、彼の再生(生き直し)の手助けをしなければと考えたこと、彼の部落関係の本や雑誌をたくさん読んだ知識が「差別の武器」になったように、「知識優先」「立て前」だけの同和教育、人権教育がきびしく問われていること、同和教育を実践していると思っている教師がどれだけ部落とつながっているのか、どれだけ部落のことを語れるのか、が今問われているということなどを語られました。
午後は新潟の石黒真由美、渡邊幸太さんと長野の島田一生さんの実践報告を受け、討論しました。
石黒さんは担任として、渡邊さんは児童生徒支援加配教員として部落出身のAさんとその家族に関わります。初めての部落との出会いにとまどい、逡巡しつつも率直に部落の話を聞き、家族との信頼関係を築きつつあります。まだまだ課題は多くこれからの取り組みですが、若いお二人の取り組みに多くの人が勇気づけられたのではないでしょうか。
島田さんの報告は「32年目の同和教育」と題し、これまでの長野の同和教育とご自身の取り組みを振り返られた報告でした。島田さんは子どもたちが差別をのりこえていくためには、それぞれが自分にとっての部落とは何か、を考えることが大切と考え取り組んでこられました。長い病気との闘いを経て現場にもどられた今、子ども会の子どもたちに歓迎されます。「私の帰る場所がここにあり、私が今日ここにいるのは、解放子ども会や同和教育とかかわった時に出会った人たちがいた、そしてその人たちが大事なことを教え続けてくれたからだ」とまとめられました。
2002年の同和対策事業法の期限切れ以来、「部落問題は終わった」かの動きが広がっています。一歩部落に足を踏み入れれば、「法」以前と基本的に変わらない差別の現実があり、子どもたちが差別と向き合い差別をのりこえていく力を育てていくため教育と運動のきびしい問い直しが必要です。東日本各地で地道に取り組まれている営為をつなぎ交流していく場として、この交流会を大切にしていきたいと考えています。